精密打ち抜き加工Topへ戻る

精密打ち抜き加工とは

精密打ち抜き加工とは薄いフィルムやシートに抜き型を押し当てて型の形状に打ち抜く加工法です。寸法精度が高くミクロン単位での加工に対応できます。高速で打ち抜くため、量産性に優れており1個あたりのコストが抑えられます。ほこりの付着が許されないようなクリーンルームで使用するシートの加工にも対応。薄く折れ曲がるような銅箔ややわらかいスポンジやゲル状の材質も使用される加工方法です。その他、薄いプラスチックの板、フィルム、紙など幅広い材質で使用されています。

打ち抜き加工の種類と特徴

プレス加工

プレス加工は外形抜き加工またはブランク加工とも呼ばれます。打ち抜く形状に合わせ、材料を挟むように凹となる金型(ダイ)を材料の下に、凸となるパンチを材料の上にセットし、パンチが材料を貫通してダイの穴の中に入り、打ち抜きをします。ダイには打ち抜く形状と同じ輪郭の穴が開いており、パンチはダイの穴形状よりもクリアランスの分、小さい形状になっています。そのため、ダイとパンチの位置がずれてしまうと適切なクリアランスを保てず、正常な形状に打ち抜くことができなかったり、パンチがダイに当たったりするため、ダイとパンチの位置決めは重要です。

トムソン加工

アメリカ人発明者の名前が由来となっているトムソン加工は、刃が付いた型で打ち抜く方法。クッキーの型を取るような方法に似ています。トムソン加工で使用する型の種類は3種類です。

  • トムソン型:木に彫った溝の中に鋼の刃物を埋め込んだ型です。刃は一枚板を曲げて埋め込むため、刃同士のつなぎ目の部分は打ち抜いた材料にわずかな段差として残ります
  • ピナクル型:薄い板と刃が一体化したものです。刃の部分にマーキングをしてそれ以外の領域を腐食させ取り除いたあと、刃の箇所を鋭利にして型を製作します。刃のつなぎ目はありませんが、刃の高さに制限があるため、厚みのある材料は加工できない場合があります。
  • 彫刻刀:金属を切削加工した型です。ピナクル型と同様、刃と型が一体で刃のつなぎ目がなく、精度の高い打ち抜きができる反面、金型の製作費用が高くなります。

トムソン加工はフィルムやシート、ゴムパッキンなど比較的薄くて柔らかい素材の打ち抜きに使用されています。使用する型によっては厚みが1mm以上の硬い樹脂や金属など、はさみで切れないような素材の加工には適さない場合があります。

ロール加工

プレスする機構の両側にロールを設け、一方からロール状のシートをプレス機に送り、もう一方はプレスされたシートを巻き取ります。リチウムイオン電子や、フレキシブルプリント基板の製作に用いられる加工方法です。金属鋼材のシートにリチウムイオンの電極を圧縮・圧延することで高密度化をします。また、基板スルーホールをロールプレスすることで、シートの表裏が導通した基板となります。自動的にシートを搬送するため、大量生産に適しています。ロールを回転するサーボモータによってシートがたわまないよう制御しています。

超音波加工

音波は気体、液体、固体の中を伝わる振動です。超音波は音波の中でも周波数が高く耳で聞こえない領域を指しています。超音波加工は加工の効率を上げるために切削や研削、プレス加工に超音波の振動を取り入れたものです。打ち抜きでも超音波加工が使用され、より少ない抵抗で任意の形状に打ち抜くことができます。材料に高速で振動として接触するので、衝撃力を繰り返し伝え、ワークを切断しやすくします。これをハンマリング効果と呼びます。また、衝撃力によって発生する摩擦熱で、材料の軟化を促して加工性を向上させる効果もあります。
例えば、プレス加工に超音波振動を加えることで、加圧力を通常の1/4~1/6に抑えられます。プレス設備の小型化や、加圧不足によるワークの反りや変形を抑えることが可能です。

レーザー加工

レーザー加工は、光の周波数を上げて収束させ、一点に照射することで対象物を溶かすほどのエネルギーを利用した加工方法です。太陽の下にレンズを置いて光の焦点を合わせると紙が焼ける原理に似ています。対象物のマーキングや切断、穴あけや彫刻などに使用されています。微細な加工ができ、金属からゴム製品などさまざまな材質の加工が可能です。金型を必要としませんが、熱による変色が発生します。

打ち抜き品の用途例

パッキン等ゴム製品

配管の接続部からの空気や水、油の漏れを防ぐために使用されるパッキンは打ち抜きで製作されています。パッキンは一般的に厚さ数mmの薄いゴム製品が使用されており、トムソン加工の打ち抜きが多く使われています。

銅箔

銅箔はプリント基板に使用される薄い銅材のシートです。銅箔はとても薄く0.1mmや8㎛のものもあります。薄いためもろく、加工の際折れやシワ、バリが発生しやすいため注意が必要です。加工時には
トムソン刃やピナクル刃の消耗がしやすくバリの有無を確認するための品質管理が重要です。

打ち抜き時に注意すべきポイント

位置決め精度の高さ

位置決め精度は、金型自体の精度と、材料をセットする位置精度が影響しています。トムソン加工の場合、トムソン型よりもピナクル型のほうが仕上がった材料の精度が高くなります。人の手でセットする場合は、丁寧に扱っても0.1mmオーダーで寸法のずれが発生します。数ミクロン程度のオーダーで精度が要求される場合は画像や自動調整器によって位置決めの精度を上げます。製品に必要な精度を確保できる加工方法を選定しましょう。

バリやダレ等の不良対策

打ち抜き加工ではせん断によって材料を切り離すため、切断面にはだれ、せん断面、破断面、バリ(カエリ)ができます。ダレやバリの大きさを最小限にとどめるために、パンチとダイのクリアランスを適正にします。適正にすることで工具の持ちもよくなります。パンチとダイのクリアランスが広いとバリやダレが大きくなり、クリアランスが近すぎるときれいなクラックができずせん断面が2層になり器具が破損する恐れがあります。

打ち抜き効率の向上

打ち抜きの効率を上げる方法としては、高速で打ち抜くことと、できるだけ材料の歩留まりをなくすことが挙げられます。ただし、打ち抜くスピードを上げると、抜き型の破損や材料の品質に影響するため、設備の寿命や品質を考慮した最適なスピードにする必要があります。材料の歩留まりを抑えるために、材料(ブランク)同士の間隔(さん幅)を狭くしてしまうと反りやだれが発生します。この現象はやわらかい材質ほど起こりやすくなります。さん幅にはブランク同士の間隔を示す「送りさん」と材料の端からブランクの間隔を示す「緑さん」があります。
一般金属の場合、さん幅の最小値の目安は次の通りです。

  • 送りさん=1.5tまたは0.7mm
  • 緑さん=1.5×送りさん

サンコー技研の精密打ち抜き

「打抜くコト」のトータルサービス

あらゆる打ち抜くことの困りごとをワンストップで解決します。こんな加工できないのでは?という事例も可能にしています。例えば、クリーンルームを導入して、医療系に使われる部品の加工に参入。クリーンルームの清浄度を表す「クラス100」の中で体内人口硬膜シートの打ち抜き加工に対応できるようにしました。また、厚み5mmまでの完全バリレス打ち抜き工法を実現しました。

豊富な保有技術

サンコー技研では、金型・プレス・トムソン・刃型・ロール超音波加工・レーザー加工の全てに対応しています。希望する加工形状や材質から最適な加工を提案します。

金属からフィルム、クッション材まで広く対応

硬いものから柔らかいものまで幅広く加工できます。厚みのあるものから薄いものまで、サンコー技研にはさまざまな種類の加工事例があります。加工できないと考えられるような製品でも、まずはご相談ください。

対応可能素材(一例)

  • 樹脂:PEEKシート・ポリイミド・カプトン・スーパーエンプラ・高機能樹脂シートフィルム
    エポキシガラス(ガラエポ)・紙フェノール(紙ベーク)・ベークライト
    フッ素樹脂シート・PTFE・多孔質シート・PET・PEN・ルミラー
    光学シート・反射シート・拡散シート・レンズシート
  • 非鉄金属:銅・アルミ・ニッケル・SUS・チタン・マグネシウム・金・銀・クラッド材・薄板電磁鋼板・ケイ素鋼板
  • その他:カーボン素材CFRP・CFRTP・不織布・メッシュ・金属繊維・スーパー繊維(ケブラー・アラミド)

位置決め精度±5μm

金型にカメラを内蔵し、金型と材料の位置をセンシングしながらロボットによって位置を補正することで、±5μmの位置決め精度を実現しました。

1億分のゼロの品質管理

電車やバスに使用する交通系ICカードはすべて当社が独占して制作しています。その数は1億枚超、市場クレームはありません。当社では全数検査の体制を整えることによって、「1億分のゼロ」の品質管理を維持し続けています。