プレス金型を製作せず、「サブスクで借りる」という新提案 Topへ戻る

近年の高機能素材の需要増大に伴い、打ち抜き用のプレス金型製作においては様々な素材への精密打ち抜き加工のニーズが高まっています。

フィルムやゴムといった柔軟な素材、さらにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)やCFRTP、厚物ポリカ(5mm)、スーパー繊維(ベクトラン・ザイロン)、アモルファス、チタン箔、医療用ステン箔、金属繊維などの特殊素材など、その種類は多岐にわたります。

従来の金型保有スタイルには、初期費用の高さやメンテナンスの手間、さらに保管場所の確保といった多くの課題がありました。そこで注目を集めているのが、「サブスク」という新しい金型のレンタルサービスです。本記事では、特殊素材を含むフィルム・ゴムの打ち抜き加工におけるプレス金型のポイントを押さえつつ、サブスクリプション(定額制)で金型を借りるメリットを詳しくご紹介します。

基本的なプレス加工の仕組み


図1 標準的な打ち抜き型の構造


図2 プレス機械と金型の関係

プレス加工とは、上下の金型で材料をはさみ、プレス機械を用いて圧力をかけることで所定の形状に切り出したり、成形したりする加工技術です。金属板の成形に用いられるイメージが強いですが、実際にはフィルムやゴム、さらにはCFRPやチタン箔など幅広い素材を打ち抜くためにも利用されています。
たとえば、食品の包装材(薄いフィルム)、医療用のゴムシート、工業・航空宇宙分野で用いられる複合素材など、用途は多岐にわたります。いずれの素材でも高精度かつ大量生産が求められるケースが多く、プレス加工の得意とする高速かつ安定した品質での切り出しは、多彩な業界を支える重要な技術となっています。

打ち抜きに求められる精密性

フィルムやゴムは比較的柔軟性が高い素材ですが、高機能フィルムや厚物ポリカなどは切断面の品質や寸法精度が厳しく求められることもあります。また、CFRPやCFRTPのような複合素材は、繊維の向きや樹脂の特性に応じた最適な刃先や押し圧の管理が必要です。スーパー繊維(ベクトラン・ザイロン)や金属繊維に至っては、高い強度・特殊な繊維構造を持ち、切断時にバリや繊維飛散が起こりやすいため、独自のノウハウが欠かせません。
こうした高機能素材を精密に打ち抜くためには、素材特性や形状に合わせて設計されたプレス金型が不可欠となります。

プレス金型製作に伴う主な課題

高額になりがちな初期投資

プレス金型 製作を新規に依頼すると、設計費や加工費はもちろん、素材の特性に合わせた試作・改良を繰り返す工程が必要です。高精度・高耐久が求められるほどコストも嵩み、特殊素材に対応できるよう設計された金型であればなおさら初期費用が高騰しがちです。また、使用頻度が低い金型であっても、一度保有してしまうと企業の資産として維持管理しなければなりません。

開発から量産までのリードタイム

先端素材を扱う場合、金型設計段階で試行錯誤が多くなるのは避けられません。たとえば、CFRPの繊維方向によるバリ発生や、スーパー繊維の切断面の処理方法など、実際に試作を行ってみなければ分からない問題が多数発生し得ます。こうしたトライ&エラーを繰り返すうちに、量産に入るまでのリードタイムが長期化し、新製品の市場投入が遅れるリスクが高まります。

保管・メンテナンスの煩雑さ

一度完成した金型は、使用しない期間でも保管環境を整え、錆や変形を防ぐためのメンテナンスを行う必要があります。特に、刃先が高精度であるほど繊細に扱わなければならず、微小な損傷が量産品質に直結するケースも珍しくありません。また、金型のサイズが大型化すると倉庫スペースを確保するのもひと苦労です。こうした維持管理のコストや手間は、企業にとって大きな負担となるでしょう。

サブスクで金型を借りるという新しい選択肢

上記の課題を解決する方法として、サンコー技研ではサブスクリプション(定額制)で打ち抜きプレス金型・打ち抜き技術を提供するサービスを開始いたしました。必要な打ち抜き金型や技術を月額の定額料金でレンタルいただき、活用いただくシステムです。

初期費用とリードタイムの削減

サブスクを利用すれば、金型そのものを購入する必要がないため、初期投資を大幅に抑えられます。また、当社が保有している金型技術や、蓄積されたノウハウを活用することで、試作・調整工程を効率化を実現します。特に、新素材を扱う場合には設計段階のトライ&エラーが不可欠ですが、量産・生産性の知見を持つ当社で支援させていただきます。

保管やメンテナンスの負担軽減

サブスクでレンタルしている金型は、基本的に使用しなくなったタイミングで返却できます。そのため、企業側は倉庫スペースを確保する必要がなく、長期保管に伴うリスクやメンテナンスコストも激減します。

幅広い素材への対応力:CFRPやスーパー繊維も

サブスクで金型をレンタルできるメリットは、「特殊素材に対応した金型をその都度用意できる」という点にもあります。フィルムやゴムだけでなく、CFRP、CFRTP、厚物ポリカ(5mm)、スーパー繊維(ベクトラン・ザイロン)、アモルファス、チタン箔、医療用ステン箔、金属繊維など、高強度や高耐熱性を備えた先端素材の打ち抜きにも対応可能な設計・加工技術を提供します。

複合素材・超高機能素材の課題

CFRPやスーパー繊維などは高強度を誇る一方で、切断面にバリや毛羽立ちが発生しやすく、金型刃先に大きな負荷をかける場合があります。適切な加工条件が整わないと、材料が変形したり、刃を傷めたりして、量産精度に影響が出るリスクが高まります。サブスクであれば、複雑な素材特性に対応できるノウハウを持つ当社で調整を行うため、試行錯誤の手間を抑えられます。

薄物から厚物まで広く加工

厚さ5mmのポリカーボネートなど、樹脂系素材では比較的厚みがある製品の打ち抜きも可能です。また、金属箔(チタン箔やステンレス箔)は非常に薄い一方で硬度が高いため、精密な刃付けやプレス条件の最適化が欠かせません。こうした複合的な要件を満たすための金型製作も、サブスクサービスを活用することで気軽に自社に取り入れていただくことが可能です。

多様なサイズ・形状への柔軟対応

大型シート(〜900mm×900mm)や長尺ロール(〜材料幅600mm)のRtoR加工

サンコー技研では多様なサイズや形状の打ち抜き加工実績がございます。フィルムやゴム、特殊素材の大型シート(最大900mm×900mm程度)から、幅600mm程度の長尺ロールをロール・トゥ・ロール(RtoR)方式で連続加工するケースまで、幅広い生産ニーズに応じた設備とノウハウを活かした金型・技術提供を行います。
RtoR方式は大量生産に向いており、一度に大量の連続した製品を切り出せるため、高効率な生産が可能です。サブスクであれば、こうした大型設備を持つ企業と連携し、必要な金型・設備を一括で利用できるケースもあるため、設備投資リスクを最小限に抑えられます。

形状の自由度と設計支援

フィルムやゴム、複合素材の打ち抜きでは、用途に合わせて非常に複雑な形状のパターンを求められることがあります。たとえば、工業用シールや医療用部品、航空機向け複合材料のパーツなど、単純な四角形・円形にとどまらない設計が一般的です。サブスク型金型サービスでは、CADデータの段階から設計支援を行い、最適な刃形状やプレス条件を提案することで、スムーズに試作・量産へ移行しやすくなるでしょう。

サブスク導入による主なメリット

コスト面のメリット

  • 初期投資の軽減
    金型を自前で保有しないため、高額な設備投資が不要になり、キャッシュフローを安定化できます。
  • 修理・改造費の削減
    消耗や不具合が発生しても、定額料金内で修理・調整を受けられる契約が多く、予期せぬ出費を抑えられます。
  • 保管コストの低減
    使用終了後は返却できるので、倉庫スペースやメンテナンスにかかるランニングコストが不要です。

開発・生産性の向上

  • 短納期対応
    サービス提供企業が既に持っている設備やノウハウを活用することで、設計・試作の期間が短縮される可能性があります。
  • 幅広い素材・形状に対応
    フィルム・ゴムから複合素材、厚物樹脂や金属箔まで、幅広い打ち抜きニーズに即応できる体制を整えやすくなります。

事業リスクの低減

  • 需要変動への柔軟対応
    製品ライフサイクルが短くなりがちな現代では、需要変動に応じて金型を増減できるサブスクモデルが有利です。
  • スケールアップ・スケールダウンの容易さ
    小ロットから大ロットまで、生産量の増減に合わせて契約プランを切り替えるだけで済むため、リスクを最小限に抑えて生産が続けられます。
  • ノウハウの外部活用
    サービス提供企業の技術者が蓄積したノウハウを活用でき、自社で専門家を育成する手間や時間を大幅に削減できます。